子供はいつか成長し、巣立っていく存在です。周囲とコミュニケーションをとり、環境の変化に適応していくことが求められます。その時に欠かせないスキルが「社会性」です。社会性は研究者によって捉え方がそれぞれ異なり、明確に定義するのが難しい概念ですが、一般的には「人と関わりたいという気持ち」をもち、「自分の気持ちや考えを周りの人に理解してもらえるように表現する力」と考えられています。現代の社会はインターネットの普及やグローバル化でどんどん多様化し、言語や文化背景が異なる人々とわかり合えるための異文化コミュニケーションという、より高度な社会性が求められています。その一方、私たちを取り巻く社会に目を向けてみると、核家族化が進み、昔のような近所づきあいや親戚づきあいが減少したため地域社会のつながりは薄くなり、人間関係は希薄化しています。かつては、子供の社会性は近隣の子供同士の交流や、家庭の中でのきょうだい同士の交流の中で、遊びを通して、多くの場合、自然に身についていきました。大きい子供は小さな子供をいたわり、守る。小さな子供は大きな子供に感謝し、憧れる。時には喧嘩し、仲直りする。そんな関わりの中で、ゆっくりと育まれてきたものだったはずです。しかし、地域の人間関係が希薄化し、近所づきあいや親戚づきあいも減少し、少子化によってきょうだいの数や地域の子供の数が減ってくる中で、子供たちが「人と関わる」ことに自然に慣れ、「人と関わりたい」という思いを自然に育てる場や機会も失われてきました。特にこの数年間はコロナ禍で学校が閉鎖され、友達とも思うように遊べない時期が続くという、過酷な環境が子供には強いられてきました。社会性の基礎となるべき、人と関わりたいという意欲が自然に身につくことが困難になりつつある現在の環境の中、どうすれば子供の社会性を上手に育てることができるのでしょうか?
この記事では異文化コミュニケーションという言葉を切り口に子供の社会性を伸ばす方法について考えたいと思います。
子供の社会性を育むことは、クッキーづくりではなくヨーグルトづくりと考える
子供が「人と関わる」喜びや自信を獲得するという課題は、何かの問題の解決や特別な能力を開発するためのものではないということをまず前提とする必要があるでしょう。社会性の獲得は「短時間に獲得できるスキル」ではありません。子供の社会性を育てる際に大人に求められる働きかけは、例えるなら、クッキーづくりではなくヨーグルトづくりの際のそれだと言えます。あれこれと大人が手をかけて型どおりに完成させていくものではなく、あくまでも乳酸菌(子供)の発酵(成長)に最適な温度等(環境)を整えていくことで完成していくものであり、そうすることで初めて子供自らが人と関わる喜びや自信を獲得し、社会性を身につけることができる、という考え方や態度が重要なのです。
異文化コミュニケーションは子供の社会性を一気に高める促進剤?!
母国語もしっかりしていないうちから異文化コミュニケーションなんて!と思う人もいるかもしれませんが、大人と違い、子供は幼ければ幼いほど自分と他人を区別する垣根が低く、偏見なしに他者と上手にコミュニケーションをとることができます。親の目を意識し、親の考えや気持ちが子供に投影されない限り、子供は外国人だから話すのが怖い、恥ずかしいと思いません。むしろ自分と明らかに違うからこそ関心も生まれやすいと考えられます。子供が日常で接するのは、先生、親、身近にいる友達がほとんどです。その結果、ある意味偏った価値観の中で暮らすことになりがちです。特に子供は、「自分の周り=世界」だと捉えます。身の回りで些細なつまずきがあると、世の中全部うまくいかないと感じてしまいがちです。そうならないためにも、小さい頃から「世の中にはいろんな人がいて、いろんな価値観がある」という多様性を体感することが大切です。もっと広い世界や価値観があると肌身で知っていることは、客観的に周りとの関係を捉え自分を認めることにつながります。それが、困難に直面した時にそれを乗り越えられる強さにもなるはずです。固定観念や一定の価値観が社会や大人によって植えつけられる前に、異なる文化の人々の多様な視点や価値観に触れること、特に異文化の子供同士で遊び、交流することは、子供の他者への関わりの意欲、すなわち社会性を増す促進剤になる可能性を大きく秘めています。
では、どこから始めればよいの?
子供が楽しいと感じやすいものから始める
最初の一歩は、子供が「人と関わる喜び」を感じられる、子供の社会性を育てる場や活動の設定です。昔、自分たちが子供だった頃、近所で楽しく遊んだ仲間を思い出してください。基本的には「遊び」を目的としたグループだったはずです。子供たちは、何か特別な目的があって集まったのではなく、遊びたいから、遊ぶのが楽しいからといった単純な目的で、仲間を形成していました。「活動自体が楽しみ」であり、誰かに命令されたものではなかったことが重要です。たとえば、サマースクールや体験学習に参加を促すのも、「参加しなさい」ではなく「参加してみる?」と子供の意思を確認したりすることも大事です。
国内でもできる異文化コミュニケーション
日本国内にも多くの外国人が暮らしています。また、多くの市町村が海外に姉妹都市をもっています。住んでいる地域の国際交流センターに足を運び、どのような異文化交流活動が地域で可能かを親子で調べることから始めるのもいいかもしれません。ホームステイのホストファミリーになって海外からの旅行者や留学生を受け入れることも、子供にとっては大きな社会体験となり、外国語を学びたい、という意欲につながります。海外の子供と文通をするのもおすすめです。新型コロナウィルスの影響で閉じこもりがちで人と会うことも難しく、海外旅行にも思うように行けない今の時期、文通は自宅から手軽にできる異文化コミュニケーションです。オンラインで登録でき、世界中の人と文通できる海外文通サイトもあります1。文通は時間をかけてゆっくりと交流を深めていくものなので、土に根を張って幹を太くしながら成長する木のように子供の社会性を力強く育て、開花させていくかもしれません。
<バーチャルで異文化体験を楽しみ、コミュニケーションスキルを>
異文化コミュニケーションを体験する最大のチャンスは海外旅行です。でも今はコロナ禍で海外旅行も難しい。そんな時でも自宅で海外旅行の気分を味わい、異文化コミュニケーションに必要な英語を学べるのがノバキッドのVirtual Explorerコースです。Virtual Explorerコースは世界の80以上の名所を訪ねる3Dツアーで構成されています。子供は先生と一緒に英語で世界を探検し、見聞きしたものについてディスカッションします。このレッスンは、子供が英語の勉強を楽しめること、語彙とスピーキング力を伸ばすこと、そして世界の知識を深めることを目的とし、子供の異文化コミュニケーションスキルをさらに深める内容になっています。子供の社会性を育て、異文化コミュニケーション能力を高める1つのツールとして、ぜひオンライン英会話のノバキッドの無料体験レッスンを試してみてください。
異文化コミュニケーションを通じて子供の社会性をはぐくむことは一朝一夕ではできませんが、親が種をまき、優しく見守ることで確実に育つものでもあります。そして子供を通じて親自身の価値観を広げ、社会性を育む経験にもなるのでぜひ親子で一緒に歩んでいきたいプロセスですね。