今日、子供とテクノロジーは事実上、切っても切れない関係にあります。教育目的であれ、娯楽目的であれ、現代の子供たちは多くの時間を「スクリーンタイム」に費やして、パソコンやタブレット、スマホ、その他のデジタルデバイスのLED画面を見つめています。子供の成長に伴い、スクリーンタイムも増える傾向にあります。スクリーンタイムが子供へ与える影響について心配する親も多く、子供のスクリーンタイムを制限するべきだという意見もよく聞かれます。さて、実際はどうなのでしょうか?この記事ではノバキッドが最近実施した子供のスクリーンタイムの過ごし方と親の意識調査の結果を紹介しながら、子供とスクリーンタイムの上手な付き合い方について考えてみたいと思います。
子供の成長に伴い、スクリーンタイムは増加傾向に
最近では、非常に幼い幼児でさえ、毎日かなりの時間をスクリーンとにらめっこして過ごしています。コモンセンス・メディア(Common Sense Media)によると、米国の幼児が1日に デジタルデバイスを使用する時間は以下の通りと報告されています。
- 2歳未満の乳幼児:1日42分
- 2~4歳:1日2.5時間
- 5~8歳:1日3時間近く
ノバキッドが2022年5月に実施した、各国の子供たちのスクリーンタイムの過ごし方と、スクリーンタイムに対する保護者の意識についての調査(4-12歳の子供を持つ保護者を対象に、15カ国、2,000世帯を対象に実施)でも、教育関連のスクリーンタイムだけでも週に平均2時間をスクリーンタイムに費やす傾向があることがわかりました。特に韓国は、オンライン教育に費やすスクリーン時間が最も長い国です。約49%の保護者が、子供がオンライン教育活動に3時間から10時間費やしていると回答。これに対し、日本では20-25%の割合となっています。特に日本の保護者はスクリーンタイムが子供に及ぼす影響を気にする傾向が強く、約46%の親が教育活動でもスクリーンタイムを減らしたいと回答しました。
賛否が分かれる影響の度合い
スクリーンタイムが増えると以下の問題が生じやすいと一般的には考えられています。
- 頭痛や首、肩の痛み
- 近視など、視力の低下
- 注意障害や睡眠障害
一方で、スクリーンタイムの内容には気をつける必要があるものの、スクリーンタイムの子供への影響はそれほど深刻ではなく、むしろ軽微であるとする研究報告もあります。また、映像コンテンツが子どもたちの学習意欲にプラスの影響を与えることは、ノバキッドが行った他の調査でも報告されています。この調査では、アニメーションのコミックストーリーを見る生徒の方が、見ない生徒よりも学習定着率が高く、両グループの間で約30%の差を表すことが示され、宿題に取り組む時間も、映像コンテンツを見ない生徒に比べ、24%以上長く課題に取り組む傾向があることがわかりました。ですので、ひとくくりに子供のスクリーンタイムを制限することが必ずしも効果的だとはいえないようです。
何事もバランスが大切:子供の健康を守るためのコツ
一方、事実として、世界的にも近視が急速に増加しています。これはデジタルデバイスの使用やスクリーンタイムの増加と関連しているといえます。例えば、シンガポールでは小学6年生の65%が近視だそうです。では、子供の健康を守るため対策として保護者は何をするのがいいのでしょうか?
1.ブルーライトをカットする眼鏡やブルーライトフィルターの利用
パソコンや携帯デジタルデバイスのLED画面は、広域の可視光線を放射しています。これらの光線のほとんどは無害ですが、画面から発せられる光の一部は「ブルーライト」と呼ばれる比較的高エネルギーの可視光線です。ブルーライトは他の可視光線よりも波長が短く、高エネルギーで、ブルーライトの帯域は、時間の経過とともに、光に敏感な網膜に有害な影響を及ぼす可能性があることが 示唆 されています。眼鏡や画面にフィルターを貼ることでこのブルーライトの曝露を少しでも軽減することは、子供の健康、特に視力を守る上では有効な手段だといえるでしょう。
2.スクリーンタイムの制限設定を活用
子供の睡眠/覚醒サイクルを乱すリスクを減らすためにも、少なくとも就寝予定時刻の1~2時間前には家庭で「ノースクリーン」ルールを設定するのがおすすめです。あるいは子供の携帯にスクリーンタイム制限を設定します。Apple社やGoogle社などのテクノロジー企業でも、最近、子供の毎日のスクリーンタイムをモニターできる時間管理機能やアプリを導入し始めました。詳細については携帯電話や端末のメーカーのホームページを確認したり、問い合わせをしましょう。
3.子供が視聴するコンテンツに注意を向ける
ノバキッドの調査でも多くの親がスクリーンタイムの中でもソーシャルメディアの使用については厳しく制限しているという回答が得られました。韓国では約75%、チェコでは74%、ドイツでは68%の親が、4-12歳の子どもはソーシャルメディアをまったく利用しないと回答しています。子供のソーシャルメディアに対するリテラシーは必要不可欠ですが、スクリーンタイムのうち、子供が何を見て過ごしているのかということについては、常に注意を払っておく必要があるでしょう。
デジタルアート、プログラミング、電子音楽制作など創造性を伸ばすデジタルホビーもスクリーンタイムの過ごし方のひとつです。家族で一緒に楽しめるスクリーンタイムを増やすこともこれからは大切になってくるかもしれませんね。