もうすぐ夏休みですね、夏休みに近い祝日といえば7月第3月曜日の「海の日」があります。海の日は、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」という趣旨で1996年に制定された祝日です。国土交通省によると「世界の国々の中で『海の日』を国民の祝日としている国は唯一日本だけです」とのこと。海に囲まれ、海の恩恵をうけながら発展してきた日本ならではの祝日といえます。せっかくのこの機会、親子で海の環境について考える日にしてみませんか?この記事では海の日の由来を振り返るとともに、世界での海洋保護の取り組みについて簡単に紹介し、英語で海にまつわる表現をまとめてみました。
ノバキッドではレッスンの中でも世界の環境問題についてわかりやすく英語で説明し、生徒と一緒に考える取り組みを行っています。また、環境問題について意識を高くもつ子供を英語教育の面でノバキッドは全面的に応援しています。
海の日の由来
2000年の「ハッピーマンデー制度」(国民の祝日を一部月曜日に移して3連休にする制度)が導入されるまで、海の日は7月20日でした。なぜこの日が海の日になったのでしょうか?それは明治時代に遡ります。1876年(明治9年)に明治天皇が東北を巡幸した際に、「明治丸」という船で青森から函館を経由して無事に横浜に帰着した日にちなんで制定されました。
ハッピーマンデー制度で海の日が毎年変わっても、海の日の本来の意味を忘れないように、7月1日から31日までは海の月間が2017年から制定され、日本全国各地で海に関連するさまざまなイベントが開催されます。特に有名なのは「海フェスタ」と呼ばれるイベントで、海に関連する記念シンポジウムや展示、コンサート、さまざまなタイプの船が寄港し、乗船・航海体験など大人から子供まで海に親しむことができる大規模なイベントが毎年開催されています。2019年は静岡で開催されました。また、明治丸が保管されている東京海洋大学では、毎年、海の日に記念行事が行われ、普段は非公開の水中探査機の体験操縦などもすることができ、人気を集めています。
世界の海の日
海の日が国民の祝日として制定されているのは世界の中でも日本だけですが、世界でも海を記念する日は多くあります。
6月8日:世界海洋デー
これは国連が1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットで制定した日です。海洋の復興と保護を目的に定められた記念日です。2009年からは正式に国連の記念日として制定され、毎年違うテーマで海や環境について考える日になっています。
5月22日:国立海洋デー National Maritime Day(アメリカ)
これは1819年にジョージア州で蒸気船サバンナ号が初めて大西洋横断を成功させたことにちなんで制定されました。アメリカ各地の港や都市でさまざまなイベントが開催されます。また、海の安全や国の安全を願う日として海軍や海事局連邦が中心となって、殉職職員の慰霊や未来の安全を祈る式典も多く開催されます。
7月16日:海の守護聖母、聖カルメンの日(スペイン)
海の守護神を祭る伝統的な宗教行事で、スペインの多くの漁村でお祭りが行われます。船を花や旗で飾り、海上で行列を行い、航海の安全を祈願します。
イギリスやカナダでは国連が定めた6月8日を「海の日(Ocean Day)」とし、ニュージーランドでは3月にSea Weekが設定され、海にまつわる講演やイベントが行われます。
海洋プラスチック問題:世界はどんな対策を?
海の環境保護を考えるとき、大きな問題となっているのが海中のプラスチック問題です。年間800万トンのプラスチックごみが世界中の海に流れ込み、2050年までに海洋中のプラスチックの量が、魚の重量を超えると予測されています。このままでは、私たちに日々の糧を与え、育んでくれた豊かな海を未来の子供たちに残すことはできません。例えば、街中に捨てられたペットボトルやレジ袋などは、風や雨などによって溝に流れ込み、川から海へと運ばれます。紫外線や波の影響を受けてもろくなり、やがて小さな粒子になりますが、マイクロプラスチックは微生物などによって分解されないため、半永久的に海のごみとしてたまり続けてしまうのです。海にたまったマイクロプラスチックを小さな魚が食べ、その魚をウミドリや大型の魚が食べ、食物連鎖を通じて、私たちの体内にも蓄積されるリスクが指摘されています。人間の便を調べたところ、人種や住む地域にかかわらず、マイクロプラスチックが混じっていたという研究報告もあるそうです。
こうした問題に対し、世界はどんな対策をとっているのでしょうか?
ヨーロッパではマイクロプラスチックの海洋汚染が大きな問題となる以前からレジ袋に対する規制は始まっていました。きっかけは、1991年にイタリアの海岸に打ち上げられたクジラの胃から50枚ものレジ袋が見つかったというニュースです。これを機に、それまで無料配布されていたレジ袋を有料化する動きがヨーロッパで高まり、2018年6月に発表されたUNEP(国連環境計画)の報告書によると、世界の127カ国がレジ袋の法規制を実施し、83カ国は無料配布を禁止しています。
されにEU(欧州連合)は2019年5月21日、海洋汚染を防止するため、使い捨てプラスチック製品の流通を2021年までに禁止する法案を採択しました。ストローやカトラリー(フォーク、スプーン、ナイフなど)の使い捨てプラスチック製品が禁止の対象になります。中国でもEU並みの禁止規制を導入していく計画を発表しています。また、マイクロビーズを含む化粧品や洗浄剤は、アメリカ、韓国、フランス、イギリス、カナダなどの国々が製造をすでに禁止しています。
日本はプラスチック大量消費国?!
UNEP(国連環境計画)によると、日本は一度で使い捨てされるプラスチック容器包装の1人当たりの廃棄量が世界で2番目に多いそうです。ようやく2020年7月からは全小売店でのプラスチックのレジ袋の有料化が始まりましたが、まだまだ世界の他の国に比べるとプラスチックの消費量は多い生活スタイルです。
海の日をきっかけにどうすればプラスチックごみを減らし、きれいな海を守れるかについて考えたいですね。
海を英語で表す:Ocean, Sea, Marineの違い
日本の「海の日」はMarine Dayで国連の世界海洋デーはOcean Day・・・海を意味する英語、Ocean、Sea、 Marineの違いは何なのだろう?この機会にそれぞれのニュアンスの違いを知ってぜひ上手に使い分けしてみましょう。
Ocean
大洋、外洋を意味する広い範囲の「海」です。どこまでも続く海を表す時はOceanを使いましょう。
Sea
一般的に海を意味する英語でOceanよりも小さい範囲を意味します。陸に近い海や陸地で囲まれた内海はSeaで表します。
Marine
形容詞にも名詞にもなる言葉で、形容詞では「海の」を意味します。名詞として使うと「海軍」という意味になります。
海の環境保護を英語で表現すると「Protecting Marine Environment」といい、Marineという単語を使います。また海洋汚染はMarine PollutionまたはSea Pollutionと英語では言います。
いかがでしたか?ぜひ今年の海の日は海の環境問題を考える日、海について英語でも親しむ日にしてみてくださいね!