これまでの日本は右肩上がりに成長を続け、終身雇用制が維持される社会でしたが、バブルがはじけた90年代以降は、経済格差が広がる一方です。また、個人の生き方が多様化する中で、一人ひとりの生き方に合ったお金の使い方や知識を身につける必要も出てきました。こうした日本の社会では、お金を稼ぐことはもちろん、お金を蓄え、失わないように維持していくことが必要です。そのためには「お金の仕組み」や「お金の使い方」を学ぶ金融リテラシーの向上が欠かせません。残念ながら金融リテラシーは、今の学校教育では教えてくれません。そして短期間で身につけられるものでもありません。親の大切な仕事は、子供が大人になるための準備をサポートすることですが、金融リテラシーはその準備の重要な一部となります。今日は、どうすれば子供の金融リテラシーを高めることができるかについて、子供と親のための金融リテラシー教育プログラムの専門家であるアンナ・デンギナのアドバイスを紹介します。
ノバキッドは子供の好奇心や関心を育てる英語学習に力を入れるだけでなく、子供のウェルフェアやメンタルヘルスの問題について、私たちの意識を高めることを大切にしています。
日本は金融リテラシーが遅れている?!
2012年3月に、ビザ・ワールドワイドの委託で株式会社シタシオンジャパンが、日本とアメリカの大学生657人(日本312人、米国345人)に実施した調査結果によると、小・中・高等学校のいずれかで金融教育を受けた経験があると回答した人は、日本が39.7%(124名)に対し、アメリカが72.2%(249名)となり、約2倍の差があることが明らかになりました。この10数年で文科省をはじめとする政府機関も金融教育への取り組みに力を入れてきているようですが、まだまだ欧米に比べると日本人は金融リテラシーが低いといえるかもしれません。
子供が金融リテラシーを身につけるメリット
金融リテラシーが深まると、将来の生活設計や金銭管理に対する理解が深まります。ライフプランニングをして、計画通りに実行できれば、人生の満足度が上がり、年を取ってからも豊かな生活を送れる可能性が高くなります。また、詐欺など金融トラブルに巻き込まれることを未然に防ぐことにもつながります。オンラインゲームでクレジット決算をして多額の請求が来たなど、未成年が巻き込まれるトラブルは急増しています。まず、親が子どもに対してお金の大切さを教えることが大切です。
お金の話は何歳からすればいいの?
お金に関する最初の話し合いは、早ければ2〜3歳の頃から始めてもOK、とアンナ・デンギナは述べます。例えば、お店に行った時に、商品をただ持って帰るのではなく、紙やコインと交換することを説明するといいでしょう。そして、4〜6歳になると、食べ物やおもちゃが棚のどこから出てくるか、なぜ物によって高いか安いかを話すとよい、とアナは考えます。
そして、お小遣いをあげるのは、5歳から8歳くらいまでに、とアナは述べます。この頃になると、子供はすでに数字の数え方を知っています。たとえば、財布に3000円入っていることがわかるだけでなく、その金額とお店の値段を比べて、それで何が買えるのかがわかると、もっといいかもしれませんね。
また、小学生になると子供は時間の概念も理解し始めます。お小遣いも日時を決めてあげることで、子供は、それが定期的に配られるお金であることを理解し、自分の判断で使えるようにする訓練につながります。おすすめなのは、週1回ペースで配ることです。月曜と土曜と日曜の違いを理解し、1週間という期間を知ることで、子どもはお金をいくらで割ればいいのか、おおよそわかるようになります。これは大人になった時、給料をもらってそれを上手にやりくりする、トレーニングにつながります。
何歳からお小遣いをあげればいいのかわからない・・・という場合:
お店に行って子供が特定の商品に興味をもって欲しがり、「ママ、買って」とよく言うなら、それはすでにお小遣いをあげるのに相応しいと考えてもよいサインの一つです。つまり、子どもがお金の使い方に興味を示していることを意味するからです。しかし、お金やお金の仕組みについて学ぶ過程は、かなり個人差があります。5~6歳でもすでに貯金というものを理解している子供もいれば、8~9歳になるまで自分で何かを買いたがらない子もいます。これは極めて当たり前のことです。お子さまの適性や興味に注目し、そのタイミングを見極めましょう。
お小遣いで注意してほしいのは、その都度、欲しいものがあるときに、あるいはお金が足りなくなったときに、子供の要求に応じてお金を子供に渡すのでは、子供に正しいお金の管理や認識の仕方を教えることはできません。永遠にお金を引き出すことができるATMが現実には存在しないからです。
子供に金融リテラシーの基本を教える4つの方法
お小遣いでお金の管理についてトレーニングする他にどのような方法で子供の金融リテラシーを高めることができるでしょうか?アナは以下の4つのアイデアを提案します。
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便利な財布、子供が好きな財布をプレゼントする
好きなものであれば、子供は忘れたり失くしたりしにくくなるはずです。紛失を防ぐためにランドセルから他のバッグに移したり、友達と出歩くときに手に持ったりする必要がないように、ポケットにすっぽり入る財布を選ぶとよいかもしれませんね。
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お小遣い帳をつけることを提案する
お小遣い帳は子供の成長記録の面もあるので、小学3、4年になったらつけさせてみてはどうでしょうか?
市販のお小遣い帳でもいいですが、大学ノートに線を引いて作ってもOKです。小学校のうちは、行間が広くて書きやすく、簡単でつけやすいものがいいですね。お小遣い帳をつけるのはなかなか根気が必要です。ぜひ親も家計簿をつけてお子さんのお手本となってあげてください。
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一緒に出費を計画するようにする
11歳~12歳までは、子どもは自分で計画を立てることができず、親の手助けが必要です。お小遣い帳を開き、今週はどうだったか、来週のイベントは何か、何にお金が必要かなどを一緒に話し合います。例えば、研修や課外授業が2回あるので交通費が必要、誰かの誕生日が近いのでプレゼントが必要、公園に行く予定があるのでアイスクリームを買いたい、などなどです。お小遣い帳で工夫したいのは、何カ月か貯めないと買えない「ほしいもの」やそのための毎月の貯蓄目標額を、メモでもいいのでどこかに書いておくといいよとアドバイスすることです。
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視覚を通じ、モチベーションUP!ビジュアルエイドの活用
友達と一緒に旅行をしたい、海外留学したい・・・もし子どもが経済的な目標を持っていて、何かのために貯金したいと思ったら、ポスターでもなんでもいいので日頃から目に入るところに貼りだし、トラッカーをつけ、徐々にゴールへの道筋を描いていくとよいでしょう。目標が視覚的にわかることで、お子さまのモチベーションも上がり、長期的な貯蓄の意味も理解しやすくなります。
お金の管理について、どのようにお子さまに教えていますか?
ぜひコメント欄でお聞かせくださいね!